健康に良い食品として最近注目されている、ホエイ(ホエー)。
あまり聞いたことがないという人もいるかもしれませんが、ホエイはさまざまな食品に利用され、わたしたちの体を形作っています。
ホエイの栄養やホエイを利用した食品、ご家庭での利用法についてご紹介します。
ホエイ(ホエー)とは
ホエイは日本語では「乳清」と呼ばれ、ヨーグルトやチーズを作る時にできる水溶液のことです。
ヨーグルトのフタをあけると、水分が上にたまっていることがありますよね。
昔はチーズを作る際の副産物として、飲んだり料理に使ったり、家畜の餌などに利用されていました。
しかしホエイには高い栄養価が含まれていることがわかり、様々な研究や技術開発により現在ではホエイを利用した様々な食品も作られています。
ホエイの栄養は、70%が乳糖、10%が塩分、15%がタンパク質、5%が脂質となっています。
このうち特にタンパク質は、卵のタンパク質にも引けを取らない良質なもので、必須アミノ酸の含有量が非常に高くなっています。必須アミノ酸は、体内では作られないため、食品から意識して取る必要のある栄養素のひとつです。
ホエイを利用した食品
赤ちゃんに
栄養価に優れたホエイは、さまざまな形で製品化されています。そのひとつが母乳代替食品の調整粉乳。牛乳と母乳ではたんぱく質の比率が異なりますが、調整粉乳にホエイを母乳に近い比率まで配合して粉乳が作られています。
高齢者に
ホエイのたんぱく質は吸収が速く、筋肉の合成を促進することでも注目され、高齢者用の飲料や流動食などの食品にも利用されています。
高齢者は成人よりもたんぱく質を多く摂取する必要があり、加齢により筋肉量が減少していくのは知られていますが、これをホエイのもつ良質なたんぱく質を摂取することで食い止めようというわけです。
高齢者の寿命だけでなく、「健康寿命」をいかに延ばすかが大切であると思います。
アスリートに
またホエイのタンパク質は、アスリートの筋肉の増量や増強にも役立っています。粉末のホエイプロテインには運動後の疲労した筋肉を効率よく回復させるとともに、筋肉を増強させる効果も期待されています。このため特に運動後の摂取が効果的であると言われています。
味は大豆プロテインに比べて風味が良く淡白で飲みやすくなっています。
筋トレだけではなく、格闘技やマラソン、ラグビーやアメフトの選手など、アスリートの強靭な体作りにも利用されています。他のプロテインと比べると、ホエイプロテインは高価なのが難点です。
ホエイの作り方と活用法
手軽にご家庭でホエイを作ることもできます。ホエイの作り方と料理への応用法をご紹介します。
ホエイの作り方
ホエイの作り方には2つの方法があります。それぞれ原料が異なり、ヨーグルトと牛乳から作ることができます。
ヨーグルトから作る
水切りヨーグルトを作る方法でホエイが作れます。ボウルに乗せたザルにキッチンペーパーなどを敷き、ヨーグルトを乗せて冷蔵庫でひと晩寝かせると出来上がりです。チーズのように固まった水切りヨーグルトと、下に受けたボウルに黄色っぽい液体ができます。それがホエイです。
牛乳から作る
カッテージチーズを作る方法でもホエイができます。
お鍋で牛乳を60℃くらいに温め、そこに6%の分量のレモン汁か酢を入れてかき混ぜます。しばらくすると、もろもろとしたお豆腐のようなカッテージチーズと黄色がかった水分のホエイができます。キッチンペーパーを敷いたザルなどで、固形分を濾し取ります。
※お酢で作ったカッテージチーズはやや固めに、レモン汁などの柑橘系の果汁で作ったものは仕上がりがきめ細かく、なめらかな口当たりになります。
どちらも簡単に出来るので、牛乳やヨーグルトが余った時などにも活用してみてください。
ホエイを料理に利用する
ホエイの利用方法をご紹介します。
ドリンクとして
ホエイをいろいろなドリンクにプラスするだけで、ヘルシーな乳酸菌飲料になります。柑橘系のジュースや、野菜ジュースなどに入れたり、炭酸水で割っても。甘酒に入れるとダブルの発酵効果で、美容にも期待大です。
牛乳と甘みを加えてラッシー風にしても美味しいです。
スープやお鍋にプラス
ホエイは少し酸味があるため、酸味のあるトマトベースのスープなどと相性が良いです。
煮込む際の水分として、ホエイを入れて使います。カレーやシチュー、トマト鍋にも合いますよ。
酸味が気にならない方は、お味噌汁に入れても。
浅漬け・ピクルスに
ホエイのもつ優しい酸味は、浅漬けやピクルス、ザワークラウトなどにピッタリ。ホエイに含まれる乳酸菌の働きによって、手軽に短時間でも本格的なお味の漬け物が楽しめます。
ここでは、簡単にできるレシピをご紹介します。
【塩麹とホエイでぬか漬け風】
材料 | 分量 |
塩麹 | 大さじ2 |
ホエイ | 50cc |
だいこん | 8cm(200g) |
きゅうり | 1本(100g) |
にんじん | 1/2本(100g) |
作り方
- 野菜を好きな形に切ります。
- 全てを保存袋に入れ、保存容器などに入れて重しをし、ひと晩冷蔵庫で寝かせます。
【ひと晩でザワークラウト】
材料 | 分量 |
キャベツ | 中1/2個 |
ホエイ | 大さじ2 |
塩 | 小さじ1(キャベツの2%) |
粒黒胡椒 | 少々 |
作り方
- キャベツを千切りにし、塩と一緒に保存袋に入れて、袋の上から揉み込みます。
- 1の袋にホエイと粒黒胡椒を入れて、さらに揉みます。そのまま冷蔵庫で一晩寝かせます。
※ローリエとキャラウェイシードを加えて2~3日寝かせると、より本格的に。
パンやパンケーキなどに
ホエイをパンやパンケーキなどに利用すると、驚くほどふわふわでしっとりとした食感が長く続きます。
【HBで簡単!ふわふわしっとりな食パン】
材料 | 分量 |
強力粉 | 280g |
塩 | 5g |
甜菜糖 | 10g |
オリーブオイル | 10g |
ホエイ | 170cc |
ドライイースト | 3g |
作り方
すべての材料をホームベーカリーのパンケースに入れて、早焼きコースで焼きます。
ホエイの効果で、糖分が少なめでもしっとりふわふわに焼きあがります。
お肉を漬け込む
ホエイでお肉を漬けると、ホエイの乳酸がお肉のタンパク質分解酵素と反応して、お肉を柔らかくし熟成された味わいになります。
【鶏むね肉のやわらかソテー】
材料 | 分量 |
鶏むね肉 | 1枚 |
塩こしょう | 少々 |
ホエイ | 大さじ2 |
作り方
- むね肉を保存袋にいれ塩を加えて揉みます。
- ホエイを加えて保存袋の上からよく揉み込ます。
- 空気を抜くように口を閉じ、冷蔵庫で半日からひと晩寝かせます。
- お肉をフライパンでじっくり焼いて、完成です。
まとめ
ホエイはただの水分ではなく、良質なたんぱく質が豊富で、含まれる乳酸菌はさまざまな働きをします。
ホエイを料理に使うと、その乳酸菌の働きにより、パンやケーキはふんわりと仕上がり、お肉は柔らかく味わいが豊かになります。
今までご家庭で水切りヨーグルトやカッテージチーズを作る際に、余ったホエイを捨ててしまっていたとしたら、それはとてももったいないことです。栄養価に優れ、腸を整えてくれるホエイを上手に活用して「腸内美人」を目指しましょう。