にんにくに含まれる栄養効果と臭いの秘密とは

葉茎菜類

香味野菜の代名詞である「にんにく」ですが、おいしいけど、においが気になって控えてしまうという方もいるのではないでしょうか。でも、実はにんにくには、小さな一粒のなかに、疲労回復や滋養強壮にバツグンの効果があるんです。食べないなんてもったいないことですよ。

今回はにんにくの栄養効果、食べ方や保存法についてご紹介します。気になる臭みを避ける情報も合わせてお伝えしますね。

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にんにくってどんなもの?

にんにくは、世界の生産量の8割を中国産が占めており、日本国内では約6割を輸入に頼っています。 国産のうちの8割は青森県産のものになっています。

にんにくの旬

にんにくは秋に植え付け、翌年の梅雨に入る前に収穫するのが一般的です。地域によって異なりますが、収穫後に乾燥させたものが6月~8月ころの夏の時期に出回り、この時期が旬といえます。収穫したてのものは新にんにくとして、6月ころに出回ります。

ニンニクの栽培は他の野菜に比べるとわりと簡単です。家庭菜園やアパート・マンションのベランダでのプランター菜園でも栽培ができます。昨年は我が家のベランダでも6株ほど栽培してみました。あまり大きくはなりませんでしたが、楽しく栽培することができましたよ。
 

にんにくの種類

にんにくは同じようにみえても、品種によって辛みや風味が異なります。ここでは、スーパーや直売所などで見かけるにんにくの種類についてご紹介します。

  • 白にんにく
    青森県などの寒冷地で栽培される国内産の代表的な種類です。6片の粒は大きくて薄皮が剥きやすいため調理しやすく、やや強い香りと濃厚な甘みや旨みを持ちあわせています。

  • 早生にんにく
    九州地方などの暖地で栽培されています。12片の粒を持っていて、紫色に近い薄皮に包まれているのが特徴です。風味はマイルドで扱いやすいです。

  • 中国産ホワイト
    日本での暖地系「にんにく」と比べると、少し小さめでりん片数は多くなっています。粒が小さいので皮が剥きにくく、調理がしにくいですが、安定した価格で年中購入することができます。辛みが強くて刺激があり、えぐみも強く感じます。少量でもにんにく!って感じの存在感があります。

  • スペイン産にんにく
    味はマイルドでコクがあり、香りが強く、食べやすいニンニクです。国産のにんにくに比べて香りが強く、香りづけには国産の半分の量でも事足ります。
    白と紫がありますが、紫の方が香りが強いです。

 

ここからはスーパーではあまり見かけませんが、直売所や道の駅、品揃えの良い百貨店の食品売り場などで見かけることもある品種をご紹介します。無臭にんにくは香りがほとんどないので、香りの苦手な方にはおススメです。

  • 一片種にんにく
    中国雲南省で生産されているにんにくです。「プチにんにく」とも呼ばれ、粒が1つしかないのが特徴です。小さめで薄皮を簡単にむくことができ、香りはややマイルドですが味は美味しいです。

  • ジャンボにんにく
    厳密にはにんにくとは別種で、「リーキ」というねぎの1種です。手のひらほどもある大ぶりなサイズで、香りはマイルドです。

  • 無臭にんにく
    「ジャンボにんにく」の一種で、普通の「にんにく」の香りの14分の1程度と非常に少なく、「ジャンボにんにく」よりも匂いません。無臭にんにくは普通の「にんにく」の7~8倍くらいの大きさで、「ジャンボにんにく」よりは少し小ぶりなサイズです。りん辺が多くて1片は小さいです。香りが苦手という方は、こちらを選ばれるといいですね。

 

その他にも、山菜として知られる「行者にんにく」、中国野菜としても知られる「茎にんにく」、にんにくから芽が出て葉が伸びたところを収穫した「葉にんにく」などがあります。

 

にんにくの栄養効果

にんにくは、よく疲労回復や滋養強壮に効果があると言われていますよね。では、その働きをどんな成分が担っているのかを、ご存知でしょうか。ここではにんにくの主な栄養効果をご紹介します。


アリシン

にんにく特有の臭いのもととなっているのは、硫化アリルの一種である「アリシン」という物質です。アリシンは、糖質をエネルギーに変える際に必須となる栄養素「ビタミンB1」の吸収を助けて、疲労回復や滋養強壮に効果があると言われています。この他にも、免疫力を高め、がんの予防にも効果があるともされています。さらに血行促進により冷え性や動脈硬化、血栓の予防にも効果があるとされています。

アリシンには強い殺菌作用があり、結核菌やブドウ球菌、赤痢菌などに対する抗生物質として機能すると言われています。

スコルジニン

「スコルジニン」はアリシンが加熱されることによって変化した有効成分。強い抗酸化力を持ち、アンチエイジング効果が期待されています。 疲労回復に役立ち、強壮・強精作用を有するとされています。

また、心臓の働きを活発にしたり、新陳代謝を促し、血管を拡げて血行を促進し冷え症対策や高血圧や動脈硬化、心筋梗塞や脳梗塞などの予防にも効果が期待できます。

 

にんにくの食べ方、保存方法

にんにくは、調理方法によって辛みや臭いが変わってきます。潰す→スライス→みじん切り→すりおろすの順で、辛みや臭いが強くなります。また、生で食べると刺激が強いですが、火を通すことでマイルドな辛さや臭いに変化しますよ。

食べ方

  • おろしにんにく
    おろすことによりにんにくの細胞が細分化され、有効成分がたくさん生まれます。また辛みも一番強く感じることができます。
    煮たり焼いたり、炒めるなどの調理の際に「おろしにんにく」を加えると、料理にコクと香りをつけることができます。おろしにんにくは焦げやすいので、火加減には気をつけましょう。また、オイルを使ったドレッシングに加えても。ラーメンのトッピングやナムルにして和えても、刺激があっておいしいです。

    ガーリックトーストにも!
    すりおろしたにんにくにバターとオリーブオイルを混ぜ、フランスパンに塗ってトースターで焼くだけ。パセリをちょっと散らすと香り高い1品に。
  • 油で加熱して香りづけに
    みじん切りやスライス、にんにくを潰した状態でオリーブオイルやバターなどで弱火で加熱します。にんにくの香ばしい香りを油につけることで、食材の風味が増します。ソテーや炒め物など、なんにでも合わせられます。

  • 餃子の餡
    餃子にはビタミンB1を多く含む豚肉を使うため、みじん切りのにんにくを加えると食欲のわく香りが加わり、スタミナ食として食べられます。

  • ローストしてホクホク感を楽しむ
    にんにくとじゃがいもを薄皮ごと使い、オリーブオイルと塩、ローズマリーなどのハーブ類であえてオーブンでローストするだけで、ホクホクとした食感が楽しめます。甘みや旨みが感じられる国産のにんにくで作るのがオススメです。

  • ぬか漬けに
    ぬか漬けの野菜としてにんにくを漬けると、にんにくの辛味が少し抜けて塩味のなかにもほのかな酸味とまろやかさが感じられます。お酒のおつまみにも。ただしぬか床ににんにくの風味が残ってしまいますので、ご注意を。

 

 注意点 
にんにくはその栄養価が高い分、刺激も強く一度にたくさん食べると胃が荒れてしまうことも。1度食べると2日ほど栄養効果が持続するため、2~3日に一度、1~2片を目安に食生活に取り入れるようにしましょう。生で食べる場合は、特に刺激が強いので少な目に。胃腸の弱い人は注意して少な目に食べましょう。
 

保存方法

にんにくをひとつ購入しても、全てを使い切ることはなかなかありませんよね。ここでは使い切れずに余ってしまった場合の便利な保存方法をご紹介します。

  • 基本の保存方法
    丸のままなら高温多湿を避けて風通しの良い涼しい所に吊るします。使う場合は1片ずつ取り出し、残りの外皮は残したままで保存しましょう。

  • 冷蔵庫での保存方法
    チルド室がおススメです。保存容器に入れて1~2ケ月は保存できます。あまり長期間入れておくと芽が出やすいので、早めに使い切りましょう。

  • 冷凍での保存方法
    外の皮をむいて粒をばらしてフリーザーバックなどに入れて冷凍します。数分置けば解凍でき、生の時と同じように使えます。すり下ろす場合は、完全に解凍した状態よりも半解凍くらいの状態で行うと、綺麗にすり下ろすことができますよ。

  • 調味料としての保存方法
    フードプロセッサーや包丁でみじん切りにし、オリーブオイルや醤油などに漬けて冷蔵庫に保存すると長持ちします。

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消臭の方法

消臭効果の高い食品を一緒に食べるのが効果的です。カテキンやたんぱく質は、アリシンなどのにおい成分と結びついて化学反応を起こし、においを中和する作用があります。

カテキンを多く含む食品

 ・青汁 ・緑茶 ・りんご ・チョコレート

たんぱく質を含む食品

 ・牛乳 ・豆乳

 

また、調理方法に気をつけるだけでもにおい成分を抑えることができます。「生よりも加熱してから」、「おろすよりもスライスする」といったちょっとしたことで、かなり臭いを減らすことができますよ。気になる方は、お試しください。

おわりに

油で炒めた香りを嗅ぐだけでも美味しいと感じるにんにくですが、小さな1粒にはおいしさだけでなく、様々な効能が隠されています。 食べ過ぎると胃腸には良くないですが、毎日少しづつ料理に取り入れて、にんにくの持つ豊富な栄養効果を試してみてはいかがでしょうか。

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