恵方巻や太巻きなどの巻き寿司は、
家でつくると安上がりです。
好きな具材を使って豪華にすることもできますよね。
巻くのも意外と楽しくて、節分やお花見など、
イベントのときにつくるという方も多いのではないでしょうか。
しかし、イベントは休日にあるとは限りません。
そんなときは、前の日に作り置きする場合もあるんですが、
巻き寿司は海苔で巻くので、作り置きすると海苔がベタっとしがちです。
パリパリとまでは言いませんが、べちょべちょは避けたいところ。
「たまには豪華に海鮮で」と思っても、
鮮魚を使った巻き寿司や握り寿司は、冷蔵保存しておかないと心配です。
でも、冷蔵庫に保存すると、
ごはんが硬くパサパサになって美味しく無くなってしまうんですよね。
今回は、そんなお悩みを解決する、
巻き寿司やにぎり寿司、ちらし寿司の保存方法をご紹介します。
ご紹介するのは、いつも私が実践している方法です。
美味しく保存できるので、ぜひお試しくださいね。
巻き寿司は冷蔵庫に入れるとなぜ硬くなるの?
巻き寿司に限らず、にぎり寿司や炊いたごはんも、
時間が経ったり冷めたりすると硬くなります。
これは、お米のもつ特性で、仕方のないことです。
ごはんを炊く前のお米は、カチカチで噛んでもとても食べられません。
消化がしにくくて、もし生米を食べたらお腹を壊す可能性が大きいです。
お米の成分は7割以上がでんぷんです。お米のでんぷんは、炊く前はβでんぷん(ベータでんぷん)といって、硬くて消化しにくい性質を持っています。
これに水分と熱を加えて炊くことで、でんぷんがα化(アルファ化)して、αでんぷんに変わります。αでんぷんは、消化吸収がされやすくなります。
ごはんを口に含んでも甘みを感じませんが、噛むことで消化酵素が働き、でんぷんを糖化して甘みを感じるようになります。
これが、もちもちの甘くて美味しいごはんの状態です。
ところが炊いたごはんをそのまま置いておくと、水分が抜けてパサパサになり、最後にはカチカチになって、噛んでも硬くて食べられなくなります。
これは、α化したでんぷんが、もう一度β化(老化)してしまったからです。
β化しやすいのは、温度が0℃~3℃のとき。
そして冷蔵庫の冷蔵室の適正温度は、一般的に2~5℃となっています。
つまり、お米を炊くことでβでんぷんがαでんぷんに変化し、甘くて美味しいご飯になる。
そして、ご飯を冷蔵庫に入れることでまたでんぷんがβ化して、硬くて甘みのないパサパサの状態になってしまうというわけです。
酢めしはβ化しにくいと言われていますが、ごはんや巻き寿司を冷蔵保存すると、でんぷんのβ化が早まりすぐに硬くなってしまうんですね。
巻き寿司や握り寿司、ちらし寿司などを冷蔵庫に入れてしまうと、ご飯が硬くなるのはわかりましたね。
お寿司はできるだけ常温保存するのが、美味しく食べる方法です。
ではあたたかい季節に翌日まで置いておくときや、冷蔵庫に入れておきたいような生ものを使ったお寿司を、硬いご飯にさせない保存方法はあるのでしょうか?
巻き寿司・握り寿司の保存方法
巻き寿司や握り寿司のごはんが硬くなったりパサつくのを防ぐには、温度と湿度の管理が大切です。
さきほどご説明したように、ごはんのでんぷんが硬くなるのは、温度が0℃付近のときです。また、ごはんは乾燥すると水分が抜けてパサパサになります。
冷蔵庫の機種によって違いはあるのですが、一般的な冷蔵庫だと冷蔵室は約2~5℃、野菜室は約3~8℃が標準です。
野菜室の設定温度のほうが少し高めに設定されていて、野菜が萎びないように湿度も高めになっています。そのため冷蔵室よりも、野菜室の方が乾燥しにくいという特徴があります。
巻き寿司やにぎり寿司を保存するなら、冷蔵庫のなかでも冷蔵室より野菜室が最適でしょう。
野菜室ならでんぷんのβ化が起こりにくく、湿度も高いのでご飯のパサつきも抑えられます。
つぎからは野菜室を使った、巻き寿司や握り寿司、ちらし寿司のそれぞれの保存方法を見ていきましょう。
巻き寿司の保存方法
巻き寿司の場合、ごはんの湿度を保ちつつも、海苔をベチャっとさせないように保存したいもの。
なるべくベチャっとするのを防いで、なおかつごはんをパサパサにしない方法です。
【保存方法】
- 巻きずしを、キッチンペーパーで包みます。
カットしてある場合は、1本の巻きずしになるように切り口をくっつけて、包みましょう。
キッチンペーパーが海苔の湿気を吸って、ベチャっとなるのを防いでくれます。 - さらにラップで包んで、冷蔵庫の野菜室に保存します。
ラップの両端をキャンディ包みにすると、余分な空気が入らずに巻きずしの乾燥を防ぐことができます。
このとき保冷バッグに入れてから保存すると、冷蔵庫の冷気が当たらずよりパサつきを抑えることができます。
実際に保冷バックの中と外の温度をはかってみたら、1℃ほど保冷バックの中の方が高い温度になりました。
保冷バックがない場合は、新聞紙で包んでも良いですよ。
パックの巻きずしや握り寿司の保存方法
スーパーやコンビニなどで買える、パックの握り寿司や海苔巻きの場合は、ついているフタをそのまま使います。
【保存方法】
- フタの上に濡らしたキッチンペーパーを置きます。
濡らしたキッチンペーパーは水が滴らない程度に絞ってから、のせてくださいね。キッチンペーパーの湿り気で、お米の乾燥を防ぎます。 - 1の上から、ラップをぴっちりと巻き付けて密封します。
ラップでなくても、寿司のパックが入る、大きめのビニール袋でも構いませんよ。密封できれば、なんでも大丈夫です。 - この状態で、保冷バックに入れて、冷蔵庫の野菜室で保存します。
保冷バックがない場合は、新聞紙で包んでもいいです。
これは、冷蔵庫の冷気を避けるためです。
宅配すしやお寿司屋さんの寿司桶の保存方法
出前の寿司桶の場合は、フタがありません。
まずフタのかわりにラップをぴっちりと貼り付け(配達のときのラップでOKです)、その上に先ほどのパックの寿司と同じように、濡らしたキッチンペーパーを置いて、さらにラップで密封します。
寿司桶の場合は、翌日のうちには回収されると思いますので、その場合はタッパーなどに移してから、同じ要領で保存してください。
ちらし寿司の保存方法
ちらし寿司も、基本は同じです。
フタがあるものはフタの上に、ないものはラップでフタをしてから、濡らしたキッチンペーパーをのせて、ラップで包みます。
冷蔵庫から取り出した巻き寿司の食べ方は?
冷蔵庫に入れた巻き寿司は、食べる30分まえに冷蔵庫から取り出し室温に戻しておきます。室温に戻ったら、切り分けていただきましょう。
室温に戻す時間は真夏や湿度の高い梅雨時は短め、冬場は長めと季節や気温を見計らってくださいね。
握り寿司やちらし寿司の場合も、食べる前に室温に戻しておくと美味しく食べられます。
ただし海鮮を使った握りや巻き寿司の場合は、十分注意してくださいね。少しでも匂いや見た目がおかしいと思ったら、食べないほうが賢明ですよ。
巻きずしや握り寿司を美味しく保存するコツ まとめ
巻き寿司やにぎり寿司、ちらし寿司の、保存方法についてご紹介しました。
お寿司はやはり、できたてをその日のうちにいただくのが、一番おいしい食べ方ですよね。
でも当日作れなくて前の晩に作ったり、用意したお寿司が余ってしまったときには、ご紹介した方法を試してみてください。少しでも美味しく食べていただけたら嬉しいです。
次回はキンパ(韓国のり巻き)を作ってみては、いかがですか?