スーパーで購入したりいただいた大根に
「す」が入っていると、ちょっとショックですよね。
なぜ大根にすが入ってスカスカ状態になるのでしょう。
すの入った大根は食べられるのでしょうか。
また、できれば大根のすは避けたいところ。
見分ける方法はあるのでしょうか。
大根の「す」について原因や見分け方、
食べ方までを詳しく解説していきます。
「大根にすが入る」ってどういうこと?原因や見分け方はコレ!
大根の「す」とは、大根の細胞どうしの間にすき間ができて、スポンジ状になることを指します。
「す」は漢字で「鬆」と書きます。あまり使わない字ですが、骨粗鬆症といえばピンとくるでしょうか。骨粗鬆症はカルシウムの不足などにより、骨がスカスカになる現象ですよね。
では、大根にすが入る原因には何があるのでしょうか。
大根にすが入る理由
大根にすが入る原因は大きく分けて2つあります。
栽培している段階で大根にすが入る場合と、出荷してから大根を使うまでのあいだにすが入る場合です。
詳しくご説明しますね。
栽培の段階で大根にすが入る場合
栽培の段階で大根にすが入るのは、収穫が遅れて大きく育ちすぎ老化が始まったとき、または、収穫の前に暑さにあたって水分が不足した場合があります。
家庭菜園などで大根を栽培されている方は、大きくなるまで待ちすぎて大根にすが入ったなんてことがありがちです。収穫は早めにしましょうね。
出荷されてから調理するまでに大根にすが入る場合
農家の方が出荷された時点の大根にすが入っていなくても、流通の段階やご家庭で保存の仕方によっては大根にすが入ることがあります。とくに暖かい時期の大根にはすが入りやすくなります。
葉っぱ付きで売られている物は、葉柄から水分が蒸発し、根の部分の水分も飛んでしまいます。
葉っぱがついた大根は、鮮度の良い証でもありますが、1日そのままにしておくと、葉っぱはしなびてしまいます。さらにそのままにしておくと、大根の根から水分を吸い取ってしまい、大根にすが入る原因になります。
お店で売られているものは、出荷前に選別されているので、大根にすが入ったものはあまりないと思いますが、中には選別されずに売られていることもあるかと思います。せっかく1本まるごとの大根にすが入っていたりしたら、ガッカリしますよね。
またご家庭で作られた野菜は、ついついうっかり取り逃したり、大きくなるまで待ちすぎて、すが入ってしまうこともあります。
食べきれずに誰かにおすそ分けする際に、すが入ってスカスカになった大根は、あげる方ももらう方も残念な気持ちになりますよね。
大根のすはなるべく避けたいものですが、見分け方はあるのでしょうか。
すの入った大根の見分け方
葉付きの大根であれば、外側の葉っぱの茎から3cm辺りを千切ってみます。茎の中心がスカスカであれば、根の部分もすが入っていることが多いです。
スーパーでは葉つきの大根はあまり見かけませんが、茎なら数センチついたまま売られています。この部分をみて茎の中がスカスカになっていれば、大根にもすが入っていると考えられます。
また、触った時に根の表面が柔らかくなっていたり、全体が黄色くなっているものは古くなった大根です。大根は白くて固いものを選ぶようにしましょう。
暖かい時期は大根にすが入りやすいので、カット大根を選ぶのも手です。
大根にすが入ったものは食べられるの?
大丈夫です。食べられますよ。
味や食感が落ちて栄養の低下は多少なりともありますが、食べることはできます。
野菜は基本腐っていなければ食べられます。腐っている状態とは、見た目にドロドロしていたり、異臭がしているとき。これは食べられません。
せっかく買った大根にすが入っているからといってポイっと捨ててしまうのはとても残念なことです。
しなびていたり、すが入っているくらいであれば、味や歯ごたえは落ちていても、工夫次第で美味しく食べることができますよ。
大根がしなびているなら
水につける
まず、大根が萎びている場合。
水分が抜けている「干し野菜」の状態に近いです。
干し野菜は、水に数分から数時間つけておくと、水につける前に比べて驚くほどみずみずしく戻すことができます。
水につける時間は、野菜の乾き具合によって異なりますが、しなびているくらいであれば、それほど時間をかけずにシャキッと戻すことができます。
50℃洗いも有効
もし、時間がない場合には、50℃洗いも有効です。50℃のお湯で数分洗うだけで、しなびた大根もまあまあシャキッと蘇ります。
「50℃洗いってなに?」という方は、こちらの記事も読んでみてくださいね。
大根にすが入っている状態
次に大根にすが入っている場合。
すの入り具合にもよりますが、穴があいている場合は、その部分の繊維は水につけても元には戻りません。煮ても固いままになってしまいますので、大根のすの部分を削り落とすなどしてから、調理しましょう。
穴があく前のもやもやしたような状態の場合は、まさに干し大根が乾いていくときと同じ状態です。しなびている時のように大根を水につけるか50℃洗いをすれば、ある程度は蘇ります。
いずれの場合も、一度水分が抜けていますので、鮮度の良い状態の大根と同じようにはいきませんが、干し大根と同様に火の通りがはやく味も染み込みやすくなっていますので、漬物や火を通す煮物、炒め物などに向いています。
次に、すが入った大根を救済する食べ方をご紹介します。
大根にすが入っても食べられます
まず、生の状態ですが入った大根をかじってみて、すが固くて食べられなさそうなら、その部分を取り除いておきます。そしてどう使うのかを考えましょう。
野菜は生で食べられるものが多いので、まずはなんでもかじってみることをおすすめします。
よくゴーヤの下処理として「ワタは苦いから取り除きましょう」と説明されていますが、実際に生で食べてみると苦みはほとんど感じません。
同じ青首大根であっても、春・夏・秋冬と季節によって産地や品種は違っています。自分の舌で感じることが大切だと思い、私はいつもかじって味を確認しています。
暖かい季節の大根は辛みが強いです。大根は冬が栽培の適期なので、美味しいのは秋冬ですね。
野菜は同じ畑で育っていても、1つ1つ個性があります。味わってみてから、適した調理法で使うと美味しく食べられますよ。
大根おろし
大根にすが入って多少食感が悪くなっていても、おろしてしまえば味は変わりません。
よく育った大根であれば甘みが増していますので、たっぷりおろして食べましょう。余った分は、冷凍保存もできますよ。
こちらの「鬼おろし」を使うと、シャキシャキとした食感のみずみずしい大根おろしが味わえて、おススメです。
漬物にする
たくあんを作るときは大根を干してから漬けますよね。大根にすが入っている状態は、大根を干したときの状態に似ていますので、そのまま漬物にしても美味しく食べられます。
干し大根
すが入った大根がたくさんあって困っている場合は、干し大根がおすすめです。少しであれば千切りにして切干大根にしてもいいのですが、大量の大根なら割り干し大根もいいですよ。
すの入った大根を、皮付きのままで縦に12等分くらいにして、上部を2cmほど残して下から2つに切り込みを入れます。それを洗濯ハンガーなどにぶら下げます。
干し網が無くても場所を取らずにたくさん干せるのでおすすめです。数日干せば出来上がりです。
使う時は、前の晩から水に漬けておきましょう。やわらかく戻ったら、煮物にどうぞ。
まとめ
大根にすが入るのは、収穫の遅れや暑さにあたったとき、そして保存状態が悪くて根の水分が抜けてしまったときに起こります。
大根にすが入っているかどうかを外から見分けるのは難しいのですが、白くて根が固く育ちすぎていないもの、葉や茎の切り口がスカスカでないものを選びます。カット大根を選べば、切り口でわかりますよね。
大根にすが入っても、ひどくなければ食べられます。
まずは少しかじってみて、食べられるところを使いましょう。
水に浸けたり50℃洗いで復活させて、おろしたり、漬物や煮物、たくさんある場合は干し大根で美味しく使い切りましょう。